昨日は二俣川から西谷駅まで歩きました。
途中聴いたのは1763年生まれのダンツィの作品である。
マンハイム宮廷音楽家の息子として生まれた彼は、
15歳にしてマンハイムの宮廷楽団に加わり才能を発揮した。
1780年代にはそれまで首席奏者を務めていた父に代わり、
ミュンヘンの宮廷楽団員となり、作曲家としても作品を残した。
その後1798年にはミュンヘンの第2宮廷楽長の地位を得るが、
1807年にはシュトゥットガルトに移り、
ヴュルテンベルクの宮廷楽団の楽長に就任し、
1812年にはカールスルーエの宮廷楽団の楽長にもなっている。
そのような楽団の中で、モーツアルトやケルビーニ、
ベートーヴェンそしてウェーバーなどの作品をレパートリーに入れ、
演奏活動を通してこれらの作品の普及につとめたようである。
管楽五重奏曲変ロ長調作品56の1の作曲年代は分からないが、
楽譜の出版は1812年の頃なのでそれよりも前になる。
フルートとオーボエ、クラリネット、ホルンとバスーンといった
管楽器のために作曲された4楽章制による作品で、
同じ作品番号である3つの管楽五重奏曲の中でも、
よく演奏される人気のある作品らしい。
第1楽章アレグレットのオーボエで始まる主題は、
かわいらしい感じの旋律で、フルートなど他の楽器が加わり、
宮廷的な華やかな音楽となっていく。
他の楽章が2・3分程度の演奏時間であるのに対し、
この楽章は8分もかかり比較的長大である。
管楽器の作品というとモーツアルトをあげたくなるが、
ダンツィの作品は同時代的なところを感じさせるだけではく、
ロマン派的な部分をかんじさせる作品である。
やさしさと幸せに包まれたようなのどかな感じを抱かせる。
第2楽章アンダンテ・コン・モートでオーボエが奏する旋律は、
少し陰のある寂しい感じであり、古典風な感じでもある。
フルートが受け継ぎながら、最後も同じ寂しげな感じで終わる。
第3楽章メヌエットは、軽快な舞曲風の華やかさのある曲。
三部形式で書かれており、中間部のトリオはのどかで優雅な感じだ。
第4楽章アレグレットは、終曲らしく華やかな感じである。
軽快で流れるような旋律は、各楽器の演奏の見せ所でもあるが、
楽しく弾んだ舞曲風の短い曲はあっという間に終わる。