今回取り上げるのは1824年生まれのブルックナーが、
1879年に作曲した交響曲第3番ニ短調WAB103で、
第3稿にあたるものでノーヴァク版を使用している。
今回聴いたCDはクラウス・テンシュテット指揮、
バイエルン放送交響楽団の1976年のライブ演奏によるもの。
ここも各楽章を聴いた感想を述べていく。
第一楽章神秘的には、弦楽器による神秘的なさざ波のような音型に乗り、
第一主題がトランペットにより奏でられるのだが、
この盛り上がり方と速くなっていくところやダイナミックさは、
テンシュテットらしい強烈な個性を感じさせる演奏である。
第二主題は弦楽器で奏されるのどかな感じの旋律だが、
グイグイとものすごい推進力をもって進めていく。
第三主題は管楽器によるコラール風の旋律である。
ここも力強くダイナミックであり、金管楽器群が鳴り響き、
よくまあ、テンシュテットの指揮についていっている感じである。
強力な推進力をもって、オーケストラを引っ張っていきながら、
金管楽器を鳴らし、テンポを自由自在に操っていくところ、
まさにこれはテンシュテットのブルックナーである。
しかし、だからといってなぜかブルックナーの音楽を壊してはいない。
最後のコーダの一気に盛り上がって終わるところも圧巻である。
第二楽章アダージョ、クワジ・アンダンテは、
冒頭弦楽器が奏でる重々しくも甘美な旋律を、
やはり流れるようにテンポよく進めていく。
第三楽章スケルツォは、かなり速いテンポで進めていき、
荒々しく狂乱的な感じを思わせる演奏であり、
中間部も含め、あっという間に終わる感じである。
第四楽章アレグロも、最初から速いテンポで進め、
ダイナミックで力強く推進力のある演奏である。
金管楽器によって奏される力強く第一主題、
コラール風の第二主題、ユニゾンで示される第三主題、
それぞれが速く奏でられ、そっけない演奏かと思えば、
そうではなく心がこもっており、聴き手を飽きさせない。
中間のホルンの吹奏とフルートが奏でる部分は、
ゆったりして、その対照的なところがよい。
うまくオーケストラが統率されているなあと思う。
最後のところの盛り上がりも素晴らしく、爽快感がある。