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おおくぼっち(大久保っち)です。話題はハーバーフェルトトライベンや音楽、ウォーキング、城の魅力などです。

閉鎖空間での520日間の生活、ヒンデミットの「ウェーバーの主題による交響的変容」

欧州宇宙機関(ESA)が、火星探査の実現を目指し、
長期間の飛行のシミュレーション実験を行うために、
被験者として参加してくれる人を12名募っている。
これは、6月21日に出されたものであるが、
昨日の朝日新聞にも記事として掲載されていた。
閉鎖空間での520日間の生活の体験というのは、
想像するだけで、たえられない気がする。
施設から外に出ることができず、食事は宇宙食だけ、
そんな生活が520日というのは、大変だ。
精神的にだいぶまいってしまいそうな気がする。

昨日は二俣川駅から西谷駅まで歩いた。
途中聴いたのは1895年生まれのヒンデミットの作品だ。
聴いた曲は「ウェーバーの主題による交響的変容」。
ドイツに生まれた彼がナチスの迫害を逃れ、
アメリカに亡命してからの作品で、1943年に作曲され、
アメリカで最も大きな成功をおさめた作品でもある。

第1楽章の冒頭の荒々しい主題は印象的である。
ここにみせる彼の優れたオーケストレーションの腕は
ただ素晴らしいとしかいいようないが、
ウェーバーピアノ曲による主題が様々な展開を遂げている。
第2楽章で冒頭に登場する東洋的な5音階による主題は、
ウェーバーの「トゥランドット」のスケルツォである。
ここでの主題の展開の手法もあざやかであり、
現代的にアレンジされ、時にはジャズ風になり、
各楽器により主題が引き継がれる。
最後の打楽器中心に奏される部分は、
ガムラン音楽のようでもある
第3楽章は、同じく主題はウェーバーである。
第2楽章を除き、他は四手のためのピアノ曲で、
「8つの小品」(作品60)から採っている。
この曲の中ではロマンティックな曲で、
後半フルートの奏でる部分が愛らしく、美しい。
第4楽章の冒頭に登場するファンファーレは印象的だ。
その後ウェーバーの主題による行進曲が提示される。
曲はファンファーレと行進曲の主題が絡み合い、
展開を続けるが、この2つの主題の絡み合いも素晴らしい。
最後は冒頭の金管によるファンファーレの主題で終わる。
ともかく彼の代表作であるし、私の好きな曲の一つである。

とはいえ、私はこの作品に使われている主題、
つまり、ウェーバーピアノ曲と、
「トゥランドット」のスケルツォを知らない。
一度は聴いてみたいものである。