昨日は前の職場の歓送迎会があり、横浜から関内まで歩きました。
歓送迎会自体は楽しかったのですが、何か自分の中では、
失った何かがそこにあるようで、何ともいえない気持ちです。
途中聴いたのは、1778年生まれのフンメルの作品。
彼の略歴については器楽曲・室内楽曲編で触れたので省略する。
ピアノ協奏曲第2番イ短調作品85は1816年に作曲された。
今回聴いたCDはスティーヴン・ハフのピアノ、
ブライデン・トムソン指揮のイギリス室内管弦楽団による。
第一楽章アレグロ・モデラートは、ショパンを思わせるような
叙情的でロマンティックな管弦楽全体による序奏で始まっていく。
一方でそれはドイツ的な部分も感じさせ、管楽器が加わると、
それはモーツアルト的であったり、ベートーヴェン的であったり、
シューベルト的であったりし、ウェーバー的でもある。
(どういうこっちゃと思わせるように多様的だ。)
独奏ピアノが入り、ショパンのピアノ協奏曲を思わせるような、
繊細で叙情的な、そしてロマン派的な音楽が展開されていく。
流れるようなピアノの旋律は高度な演奏技術が必要である。
ショパンの協奏曲の方がこの作品より作曲年代があとなので、
後世に与えた影響が多いのだろうなあと思わせるところがある。
最後の一気に駆け抜けていくようなところも圧巻で、
華麗にそして豪快にベートーヴェン風に堂々として終わる。
第二楽章ラルゲットの冒頭における管弦楽による
ユニゾン風の音楽は、ベートーヴェン的である。
独奏ピアノが入ると、ロマンティックで甘美な旋律が続く。
この楽章自体は短く、次の楽章への間奏曲的な役割を持ち、
次の楽章に切れ目なく入っていく。
第三楽章ロンド、アレグロ・モデラートの冒頭は、
前楽章と同じであり、ショパンを思わせるような
感傷的でロマンティックな音楽である。
そのあと主題をフーガ風に扱ったりもする。
ピアノの流れるような軽やかな旋律はショパン的であっても、
ドイツの古典的なスタイルが根底にあるところがフンメルらしさなのだろう。
それにしてもスティーヴン・ハフのピアノはフンメルの多様な側面を
うまく表現していると思うし、そのテクニックはなかなかだと思う。
駆け抜けるようなピアノの旋律が奏でられたあと、
冒頭の主題を中心に最後は堂々とダイナミックに終わる。