昨日は二俣川から鶴ヶ峰駅まで歩きました。
途中聴いたのは、1890年生まれのチェコの作曲家、
ボフスラフ・マルティヌーのチェロ・ソナタである。
昨日はこのうちのチェロ・ソナタ第1番H277と、
チェロ・ソナタ第2番H286を聴いてみた。
チェロはヤーノシュ・シュタルケルによる演奏である。
シュタルケルによる演奏もなかなかいいのだが、
ピアノを弾くフィルクスニーの演奏もいい。
この2つの作品は第2次世界大戦中に作曲された作品なので、
どちらもその戦争という時代背景を頭の中に入れて、
聴いた方が理解しやすいし、その理解が必要かもしれない。
チェロ・ソナタ第1番は1939年に作曲された作品で、
彼が20年近く住んだパリで作曲された。
第1楽章ポコ・アレグロはピアノに続き、
チェロが主題を奏し、その主題が展開されていくが、
ピアノの伴奏にマルティヌーらしさがあふれている。
第2楽章レントは、最初の1分近くのピアノの独奏が、
陰のある感じの曲で、チェロがそのあと現れるが、
やはり何かしら差し迫った状況が感じ取れる。
1939年に勃発した第2次世界大戦による緊迫した状況が、
投影されているといっていいのだろうか。
第3楽章アレグロ・コン・ブリオでは、
チェロの技巧的な演奏がみられ、終楽章らしい。
軽快で刻々と変化していく音楽が流れる一方で、
第2楽章と同じく緊迫感はみられるが、
最後の終わり方に一縷の希望が見える気がする。
チェロ・ソナタ第2番は、1942年にニューヨークで作曲された。
彼がアメリカに渡った時に彼を助けたチェコ出身のチェロ奏者
フランク・リブカ(Franck Rybka)に献呈された作品のようだ。
第2次世界戦争が続いている中で作曲されたからか緊迫感はある。
しかし、第1楽章アレグロを聴くと希望のような明るさがみられ、
彼の作風が簡素な方向に向かっているような印象を受ける。
いかにも彼の音楽らしさが溢れている音楽である。
最後に最初に提示された主題が再現されて終わる。
第2楽章ラルゴも重く暗い感じで始まる。
チェロが歌うように主題をゆったりと奏していく。
第2次世界戦争で起こっていることへの怒りや嘆き、
そしてそこでの犠牲者への祈りのようにも聞こえてくる。
第3楽章アレグロ・コモドは軽快な楽章である。
中間部にはチェロのカデンツァ風の独奏があり、
ここはチェロ奏者の腕のみせどころであろう。
そのカデンツァ風の中間部を過ぎ、
再び主題が登場し、一気にコーダに向かって終わる。