昨日は希望が丘駅から鶴ヶ峰駅まで歩きました。
途中聴いた曲は、1864年生まれのリヒャルト・シュトラウスの作品。
リヒャルト・シュトラウスは数多くの管弦楽曲や歌劇が有名だ。
それに比較すると室内楽曲の分野の作品は少ないが、
その中でもチェロ・ソナタヘ長調作品6は知られている作品で、
1882年から1883年にかけて作曲された初期の作品であり、
三楽章からなるこの作品は、比較的よく演奏される曲のようだ。
CDの解説書によると実際には1881年春から作曲に取りかかっているが、
出版にあたって第一楽章はかなり作り直されたようで、
第二楽章と第三楽章は新たに作曲した曲に置き換えられたようだ。
そういうことから考えると今回聴いたチェロ・ソナタは、
オリジナルではなく、改訂された第2版にあたるのだろう。
1883年12月8日に行われた初演は成功に終わったようで、
聴衆の一人が父親にあてた文には、賛辞の内容が書かれている。
ホルン奏者の父親は、早くから彼に本格的な音楽教育を受けさせていたので、
この聴衆の反応については、さぞや満足であっただろう。
第一楽章アレグロ・コン・ブリオは、ソナタ形式で書かれている。
最初にピアノに登場する主題は山岳風の曲で、
ミュンヘン生まれの彼らしい感じがして、明るい感じでいい。
他の主題はロマンティックな旋律がチェロに奏されたりする。
この動機は曲の中で時々現れ、展開部でも変形されて登場し、
チェロも変形した旋律を弾くが、展開部はそんなに長くない。
再現部に戻ってそれぞれの主題が再現され、さわやかに終わる。
第二楽章アンダンテ・マ・ノン・トロッポは三部形式で書かれている。
チェロという楽器の良さを活かした楽章で、陰影のある主題と
たっぷりと歌うようなチェロのロマンティックな旋律が印象的である。
第三楽章アレグロ・ヴィーヴォは、ソナタ形式で書かれている。
軽快な感じの旋律がチェロで奏され、ピアノがそれを支える。
ピアノには第一楽章の山岳風の旋律も変形され顔を出す。
そのことで作品全体の統一感が生まれている。
その後のリヒャルト・シュトラウスの作品を
思わせるような感じはところどころに見ることもできる。