昨日は横浜から星川駅まで歩きました。
途中聴いたのは1837年生まれのバラキレフの作品。
「五人組」のメンバーの中ではリーダー的な存在であり、
他の四人がそれぞれ別の職業を本職としていたのに対し、
彼だけが専業の音楽家であったところが違うようだ。
当時はピアニストとしても活躍していたようで、
1869年に作曲された「イスラメイ(東洋風幻想曲)」は、
そんな彼の一側面を感じさせてくれるピアノ曲である。
曲は三部形式で作曲されているようで、
コーカサス地方の民俗舞曲などを題材にしているようだ。
冒頭で奏される主題をもとに展開されていく音楽は、
リストのピアノ曲のような超絶技巧風で、
速いテンポでその主題を様々な形に変えて演奏する。
中間部はゆったりとした対照的な音楽で、
いかにも東洋風の幻想的な音楽である。
ここでもその東洋風の主題はリスト風に展開され、
再び冒頭の主題が登場し、速い音楽に戻る。
中間部の主題も使いながら音楽は一層技巧的となり、
最後は颯爽とした感じで一気に駆け抜けるようにして終わる。
ちなみこの曲にはリャプノフ編曲による管弦楽版がある。
ピアノ曲を聴いたあとに聴き比べをしてみるといい。
前半部の速い音楽はやはりピアノ版の方がいい。
しかし中間部となると管弦楽版の方がゆったりとした
その東洋風の音楽の感じが出ていていいように思う。
そうはいえ再び冒頭の主題に戻るところや最後の部分は、
やはり速いテンポの曲なので管弦楽曲版の場合も、
演奏者にとって(特に金管楽器)は難しそうにも聴こえる。
それにしても原曲のピアノ版を聴くと感じることだが、
バラキレフはなかなかのピアニストだったに違いない。